東芝が2017年の2月14日に予定していた2016年度の第3四半期決算発表を3月14日まで延期した、というニュースが報じられて大騒ぎになってますね。
延期の理由は、
アメリカで、内部統制不備を示唆する内部通報があった、ということでしたが、
ひょっとしたら減損処理の一部が手違いで抜けていたのか、意図的にそうしたのか、ということなのかもしれないですね(意図的だったら大問題ですが)。
ところで、
「東芝」と聞いて、一般人が抱くイメージは・・・家電製品ですかね?
わが家では洗濯機と、今使用しているこのノートパソコンが東芝の製品でした。
その一方で・・・
「東芝」と聞いて、投資家が抱くイメージは・・・フラッシュメモリや半導体?
・・・・も、そうなんですが、
経営陣の無能さ、
というイメージを抱く人も多いと思います。
東芝はなんといっても2006年あたりから2015年まで長期にわたって経営陣が主導で粉飾決算を行っていた、という黒歴史があります。
その中で隠ぺいされていた赤字の予想額がとんでもない額だったので、
東芝は解体?倒産?といううわさがずっと流れてますね。
そんな中で今回の決算発表の延期、という事態が発生したので、
東芝、いよいよヤバいな
と肌で感じる人も多いと思います。
それにしてもなんであの安定優良企業の東芝が・・・・こんなことになっちゃったんでしょうか?
なんで東芝はこんなことになった?誰のせい?
東芝がこんなことになったすべての始まりは、東芝が2006年に、アメリカの原発メーカー、ウエスチングハウス(WH)を6600億円で買収したことからです。
実はこの買収劇は、最初から破たんしていました。
買収した時点でウエスチングハウス(WH)の経営はボロボロで、新規事業を立ち上げられる状態になるまでの見通しもまったくたっていなかったんですね。
なにしろウエスチングハウス(WH)は30年以上も新規事業(新しい原発)を立ち上げたこともない企業でしたから。
経営破たん寸前のウエスチングハウスにそんなことをする体力があるわけがなく、時間もかかるしコストは増える一方。
なんでまた東芝は、そんな破たん寸前のアメリカの企業を買収したのかは今のところはわかりません。
さらに運の悪いことに、
2011年に起きた福島第一原発(東芝のインフラ)の事故が追い打ちをかけて、東芝の原発に対する安全基準が大幅にアップして、設備コストや人件費がさらに増えて・・・
結果的に、この原発事業の新規立ち上げのためのコスト(先行投資)が、それ以降の東芝の莫大な赤字を生み出すことになりました。
そしてその赤字を粉飾決算で隠ぺいしていたのが、当時から3代にわたる歴代の社長たちでした。
- 西田厚聰(15代目社長:2005年6月~2009年6月)
- 佐々木則夫(16代目社長:2009年6月~2013年6月)
- 田中久雄(17代目社長:2013年6月~2015年7月)
この3人が、ウエスチングハウス(WH)の新規事業の立ち上げのためにかかった、東芝の莫大な赤字を長年にわたって隠ぺいしました。
たとえば田中久雄社長の時は、アメリカの監査法人、アーンスト&ヤング(EY)が3億8500万ドルと見積もったコストオーバーランを6900万ドルに圧縮して計上して、利益をかさ上げしたりしてます。
そしてそんな粉飾決済が発覚して、結果的にこの3人は東芝に起訴されます。
2015年11月に裁判になって責任を追及され、3人とも辞任になったんですが、誰も逮捕はされていません。
当然ですが3人が辞任しても東芝が今まで隠ぺいしてきた抱えた莫大な赤字は減るわけでもありません。
東芝は2016年に、ウエスチングハウス(WH)の減損損失をついに認めて、
大赤字になった穴埋めに、優良子会社の東芝メディカルシステムズを、泣く泣くキヤノンに売却するなどして、生き残りをかけたギリギリの戦いをするようになりました。
そしてその東芝メディカルシステムズの元社長だった綱川智氏が、2016年の6月に第19代目の東芝社長になります。
そこから綱川社長は必死に歴代の社長たちのしりぬぐいをやってきました。
PC・TV・白物家電といった不採算事業の分離・売却や、希望退職者の募集、来季(2017年4月入社)の新卒採用の中止などを実施して・・・
そして綱川社長は、なんとか2016年内には巨額減損処理を終わらせて、ウエスチングハウス(WH)の原発事業を形にしたかったんですが、
結局それはかなわなかったんですね。
2017年の2月14日に発表されるはずの決算報告が1カ月先延ばしになりました。
そしてその日に緊急で記者会見を行われました。
綱川社長は記者会見で
決算報告が遅れた理由や東芝の現状について説明しました。
そのときに提示された原発の損失額は7150億円でした。
世間では綱川社長や志賀重範会長を戦犯扱いする声がたくさん上がってますけど・・・・
・・・・・
・・・・・
それぜーーーーんぶ先代の社長たちの仕業ですからね。
綱川社長や志賀会長はその尻ぬぐいと、株主や視聴者のヘイトを一身に集めるそんな役回りをかってるだけですから。
綱川社長のことはこちらでまとめています⇒綱川智社長の経歴や大学などの学歴は?報酬カットで年収はいくら?
志賀会長のことはこちらでまとめています⇒志賀重範会長の大学などの学歴や経歴は?悪いことに関わってたの?
もちろん、決算報告を予定通りにしなかったのは彼らの責任ですけどね。
そんな現状の東芝なんですが、ネットでは
東芝って倒産するんじゃない?
という声もたくさんあがってますね。
実際にどうなんでしょうか?
東芝が2017年に倒産する可能性は?国が助ける?
東芝が2017年に倒産する可能性がどんどん上がってる、という声もツイッターで上がってましたが、それはさすがにないと思います。
東芝という企業の在り方にこだわらなければ、とりあえず存続はできます。
純資産もありますし。
もちろん、リストラや資産(保有株式など)の売却をして行って債務を減らしていくことになりますが、東芝というブランドをなくしてしまうよりも存続させた方が資金も比較的集めやすいし、新規事業も始めやすいはずです。
原発事業は現在の自民党政権も推進しているので、国策として補助をするかもしれないですね。
東芝の今後は?これからどうするの?
綱川智社長は2月14日の記者会見で、
- 役員報酬のさらなる減額
- 原子力事業を統括してきた志賀重範会長の辞任
- 原子力部門の社長直轄化
などの組織の再編の話をしたあと、
- 社会インフラに力を入れる
- NAND型フラッシュメモリ以外にも、ディスクリート半導体(半導体の部品となる、半導体素子の総称)も東芝で組むようにする
- 海外の原子力事業に関しても見直しを行った上でしっかり進めていく
という方針を発表していました。
ただ、東芝の稼ぎ頭でもある半導体事業に関しては、マジョリティにかかわらず(50%~100%でも)、保有株式を売却する可能性をほのめかしてました。
半導体事業を完全に手放す可能性もある、ということですね。
そうなると、これから東芝は『何屋さん』になるのか・・・という話になってきますが。
原発事業の再建を図りながら、新しい事業を始めるしか道はないかも・・・
東芝の社員はこれからどうなる?退職金は?
本当に悲惨なのは東芝という会社そのものよりも、東芝で働く約19万人の社員さんたちですね。世間でなんと言われようと、彼らはいつも通り仕事をするしかなんですが、なんともやりきれない思いだと思います。
専門的な技術職についている人は比較的転職はしやすいですが、営業職や事務職などについている人たちは、毎日が気が気じゃないかもしれません。
20代~30代前半ならまだしも、30代後半や40代以上になると再就職できたとしても、まちがいなく今よりは待遇は悪くなります。
もちろん、何が起きるかわからない世の中ですし、大企業もいつどうなるかはわからない時代なので、個人が変化に対応できるように日ごろから準備するべきなんでしょうけど、
とは言っても何をしたらいいのか答えが出るものでもないですよね。
転職しやすいように資格を取る?独立して商売はじめる?
いろいろ悩みながら、結局目の前の与えられた仕事をこなす毎日は、かなり精神的にもつらいですよね。
ちなみに倒産はないと思いますが、万が一東芝が倒産しても退職金は出ますし、早期退職の場合は多めの退職金は出ます。
まとめ
経営陣がトンデモない人間だと、最終的に社員にしわ寄せがきます。ほんとにこれほど迷惑な話はありませんよね。
これから東芝はどうなっていくんでしょうか。
今は決算発表がまだなので何とも言えないですが、その結果が待ち遠しいところですね。今後の方針を決める大事な情報開示なので。
東芝はこれからさらに厳しい状況になると思いますが、大勢の社員さんとともに、なんとか持ちこたえてほしいです。
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