この世界の片隅にの鬼(人さらいのバケモノ)の正体はどう解釈する?

アニメ映画「この世界の片隅に」の最初と最後のシーンで出てくる「人さらいのバケモノ」の正体は、すずの兄の要一だった、という説があるので考察したいと思います。

かなり個人的な想像の世界の話になりそうですが笑

結論から言うと、

ニューギニアで戦死した兄の要一は、妹のすずのことを心配するあまり、人外の「人さらいのバケモノ」へと姿を変えて、すずの幸せをなんとか実現させるために、いろんな作戦を(時間を遡って)実行していた。

こんな感じですかね。

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そんな兄の作戦のメインの目的は

  • すずと周作を出会わせて、周作にすずを惚れさせること
  • できるだけ万全の状態で2人を結婚させる

です。

それ以外にもすずの兄の要一はいくつかの作戦を実行しましたが、結果的にすずと周作はとてもいい夫婦になり、すずはなんとか幸せを手に入れることになったので、彼の作戦は成功したと言えるでしょう。

ではもう少し詳しく見ていきます。

人さらいのバケモノの正体は本編だけではわからない?

原作漫画でもアニメ映画の方でも、最初と最後のシーンで2回「人さらいのバケモノ」が出てきます。

でも、そのどちらも本編だけでは「人さらいのバケモノ」の正体が、すずの兄の要一だという判断はできないんですが、とりあえずおさらいをしておきましょう。

 

まずは1回目の「人さらいのバケモノ」の登場シーンです。

電子書籍版で言うと上巻に掲載されています。

 

すずは中島本町の「ふたば」に海苔を届けることになりました。本来それは兄の役目だったんですが、兄は風邪をひいて寝込んだので、すずがやることになりました。

すずは砂利船で中島本町まで送ってもらったが、見慣れない街で道がわからない。藁にもすがる想いで道を聞いた人が、あの「人さらいのバケモノ」でした。

「人さらいのバケモノ」が背負うかごの中には周作がいて、すずはこの人は「人さらいのバケモノ」だということを知ります。

でも「人さらいのバケモノ」は夜になる前に帰らないとヤバいと言います。すずがなんで?と聞くと、それまで笑っていた化け物は、「うるさいいらん事きくなぁ」と激高します(この怒り方、なんとなくお兄ちゃんの怒り方に似ていると思うんですが)

「人さらいのバケモノ」はすずと周作を背負って、夜になる前に早く帰ろうとします。そこですずは機転を利かせて、「人さらいのバケモノ」の望遠鏡に細工をして、今は夜だと錯覚させて、「人さらいのバケモノ」を眠らせることに成功しました。

そしてすずと周作は見事、化け物のカゴから脱出して、それぞれの用事を済ませることになります。

このとき、周作はすずさんに一目惚れしています。周作はすずさんのモモヒキに縫い付けてある名札を見て、すずさんの本名が「浦野すず」であることを知りました。そして十年以上たってから、周作はこれだけを手掛かりに浦野家を探し当てて、すずに結婚を申し込むことになります。

一方、すずはこの出来事を「昼間の夢」と認識していて、物語の最後まで化け物のかごの中で周作に出会った、ということを思い出すことはありませんでした。

これが「人さらいのバケモノ」の1回目の登場シーンでした。

 

「人さらいのバケモノ」の2回目の登場シーンは、これまた原作漫画とアニメ映画も同じく、最後の橋の上でのシーンですね。

原作漫画ではすずが「人さらいのバケモノ」の手を握ってしまう(周作とすずは「人さらいのバケモノ」とは気づいていない)

アニメ映画ではすずと周作は「人さらいのバケモノ」に気づいていて、カゴの中からワニが出てきて手を振るのを見ています(詳細はコチラ⇒この世界の片隅にのネタバレだけど最後のワニの正体はお兄ちゃんの嫁?)。

以上が本編での、「人さらいのバケモノ」の登場シーンですね。

 

これだけでは何とも言えないところですが、原作漫画の本編でちょっと気になる点は、

  • いきなりキレて怒った「人さらいのバケモノ」の表情がすずの要一に似ている
  • 「化け物」と呼んでいるのは周作だけ(すずは「あの人ばけもんじゃった?」と周作に言っている)

ことくらいですね。

では、

「人さらいのバケモノ」の正体は、すずの兄の要一だった

という根拠があるところはどこなのかというと、

原作漫画の方に掲載されている、「鬼いちゃん冒険記」という小エピソードにあります。

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「鬼いちゃん冒険記」で「人さらいのバケモノ」の正体がわかる?

この世界の片隅に、の原作漫画の方には「鬼いちゃん冒険記」という小エピソードが3ページに分かれて掲載されています。そこにはすずの兄が赴いていた戦地での、彼の振舞いが描かれています。

設定としては、すずの右手が失われる前に、すずが戦場に赴いている兄の要一を主役にして描いた漫画、という感じですかね。

とはいっても内容はめちゃくちゃです(笑)

アジアのどっか(ニューギニア?)の湿地帯で行軍していると、「鬼いちゃん」はワニ(のちの嫁)に襲われて頭をかまれました。でも「鬼いちゃん」はそのワニの尻尾をもってブンブン振り回して、空を飛んでいた戦闘機に投げつけました。そしてその戦闘機はワニの激突によって墜落するんですが、「鬼いちゃん」の頭に直撃する・・・

その戦闘機をワニ(のちの嫁)と食べたあと、残った戦闘機の残骸を使って新居を建てて、「鬼いちゃん」とワニはそこでラブラブな新婚生活を送る・・・

というものです(笑)

でもそこでポイントなのが、

最初は人の姿をしていた「鬼いちゃん」が、最後は「人さらいのバケモノ」そのものの姿になっていたということですね。

電子書籍版の原作漫画で言うと、下巻に掲載されています。

 

なんでそうなったのか、「鬼いちゃん」はそこからどうやってすずと周作の前に姿を現したのか、これは想像のしがいがあるところです。

ここはもう、兄の要一が「鬼いちゃん=人さらいのバケモノ」を仮説に立てて考えましょう。

 

セリフや補足説明などが一切ない、この「鬼いちゃん冒険記」ですが、最終的にすずの兄の要一が「鬼いちゃん=人さらいのバケモノ」になるまでの一部始終を描いているようにも見えますね。

そう考えると、すずは兄の要一はニューギニアで戦死した可能性もあるが、あの兄がそうなるとは思えないので、すずは兄が何らかの形で生きていると確信してあの「鬼いちゃん冒険記」を書いたということなのかもしれません。

そして、

やっぱり戦死していたすずの兄は、そんなすずの想像力や気持ちに応えて「鬼いちゃん=人さらいのバケモノ」となって時間を遡り、すずと周作の前に姿を現した・・・

・・・そんな可能性はないでしょうか。

そして「鬼いちゃん=人さらいのバケモノ」は1回目の登場シーンで、すずと周作を引き合わせた。

・・・

・・・まあ幼少期の兄を見ると、そんなに妹想いの兄だったようには見えなかったですし(笑)、すぐにキレてすずやすみの頭にゲンコツ食らわせるような兄でしたが、過酷な戦地で故郷のことを想う中で、いろいろと変化があったのかもしれませんね。

とくにすずは下の妹のすみに比べて、「ポーっとしてる」ところがあるので、お兄ちゃんはとくに心配だったんでしょう。

「すず大丈夫かなぁ」→「せや、成仏する前にあいつの様子ちょっと見てきたろ」→「こいつあかんわ、なんとかせな」→「いろいろ見てきたけど、周作とかいうやつと引き合わせたらすずは幸せになるっぽいで」→(周作、カゴの中ですずに惚れる)→「これで2人は結婚すると思うけどまだまだ心配やから見守るで」→「もう大丈夫やろ、おれもカワイイ(ワニの)嫁もろたし、最後にバイバイしに行こか(ラストシーン)」

こんな感じですかね(関西弁になっちゃいましたが笑)

こうやって考えるとステキな話だと思いますし、原作を見てもどう考えてもそうとしか思えないんですよね。

 

そして、そうなってくると・・・いろんなエピソードが「鬼いちゃん=人さらいのバケモノ」の「すずに幸せになってもらう作戦」かもしれない、と思えてくるんですよね。

すずとりんが出会ったのも、周作とりんが出会ったのも、「鬼いちゃん=人さらいのバケモノ」の作戦なんじゃないかな。

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「鬼いちゃん=人さらいのバケモノ」は他にもすずの幸せサポートをしていた?

「この世界の片隅に」では、しばしば「出会いと再会」が起こります。すずと座敷童(りん)との出会い→すずと遊女としてのりんとの再会、とかですね。

ちなみに、この「りん」も周作とすずが出会うために少なからず一役買っています。

アニメ映画ではあまり出てこなかったりんですが、原作漫画では「りん」はかなりの重要人物なんです。

遊女であった「りん」は、実は周作が入れ込んでいた女性で、周作をいろんな意味で「男」にした女性でした。マジメな周作は「りん」との結婚をホンキで考えていて、「りん」もまんざらでもなかったようですね。

ただ、周作の家族や親せきから猛反対を受けて、結婚は実現しませんでした。

 

ココからは想像ですが、

考えや価値観を改めた周作はその後に、すずが住む「浦野家」を探して訪問することになります。

周作は足が悪い母親のこともあり、見た目が可愛くてキレイな遊女よりも、家のことをしっかり任せられる女性と結婚をするべきだ、と気づいたんでしょう。

そして周作はあのときの「人さらいのバケモノ」のことを思い出して、ずっと気になっていた「浦野すず」のことを探しました。

中島本町の海苔屋さんから「浦野家」を追ったのかもしれません。

そんな少ない手がかりの中、周作は見事「浦野すず」との再会を果たします。りんのこともあったので、周作はどうしても早く結婚する必要があった。そんな焦りが、押しに弱いすずさんとのスムーズな結婚に結びついたのかもしれません。

つまり、

周作とりんとの出会いがなければ、周作はすずと一緒になることはなかった可能性もあるということが言えると思うんです。

そう考えるとですね、

周作と「りん」を一度くっつけて、別れさせることで周作にすずのことを思い出させる。周作とりんの結婚を家族や親せきに大反対させて阻止させることで、すずのことをより受け入れやすくする

・・・これを計算して仕掛けていたんだとしたら「鬼いちゃん=人さらいのバケモノ」の作戦はまさに「化け物」じみてますね!

まあ、なんといっても「鬼いちゃん=人さらいのバケモノ」はタイムリープができるので、何度も何度も時間を巻き戻して失敗を繰り返しながら、すずを幸せにする方法を考えていたのかもしれません。

 

実際に原作漫画では、周作のおばが、

  • すずさんはええ嫁さんじゃね
  • 好き嫌いと、合う合わんは別だから
  • (周作は)一時の迷いで変な子に決めんでほんま良かった

とすずさんを称賛しているシーンもありました。

「りん」という対照的な比較対象がいることで「すず」の素晴らしさが際立っていたことがわかる場面でした。

かなり個人的な想像ですが・・・

こうして、すずの兄の要一が姿を変えた「鬼いちゃん=人さらいのバケモノ」は、すずと周作の2人を引き寄せ、出会いや再会、別れを繰り返し経験させることで、苦難や苦悩を乗り越えて、なんだかんだで幸せに生きていくようにサポートしていたんじゃないかと思うのです。

かなり個人的な想像の話になりますが、そもそも「この世界の片隅に」は答えがない問いも多いので、自由に想像するのもまた作品を楽しむ方法の一つだと思いますね。

アニメ映画だけでなくて原作漫画を読むことでさらに世界が広がりました。

まだまだ楽しめそうです。

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